勝ちパターンのピッチャーを、何よりも大切に〜広島の中継ぎ運用の問題点〜

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どうも、新ブログ開設の準備をしているタッツです(思った以上にめんどくてなかなか作業の手が進まないとは言えない)。
ブログネタは溜まっているのですが、すべて新ブログに書こうと思っていました。しかし今回どうしても書きたいネタが発生しまして…。

本日の広島対巨人の試合で広島のフランスアと中崎が4連投となり、一部メディアには「禁じ手を打った」という論調で書かれました。
ではこれがなぜ「禁じ手」なのかを解説していきます。

フランスアと中崎は、言うまでもない広島の勝ちパターンの中継ぎ投手です。
まずは、勝ちパターンとは何かを考えていきましょう。

厳密に言えば、フランスアは勝ちパターンの中でも特別な”ジョーカー”にあたる投手です。
この”ジョーカー”は、主に7回や8回において、「絶対に失点を避けたい場面」「相手のコアの打順」に投げることが役割です。そしてこの役割をこなせるリリーバーを全球団に必ずいるものではないことから、その特別さが窺えます。

したがって”ジョーカー”のフランスアには、上記のシチュエーション以外は調整登板程度に留めて、常に接戦で相手のコアを打ち取っていけるコンディションを保てるような待遇をしなければなりません。

次に、中崎がこなす”クローザー”についてです。

みなさんご存知かと思いますが、3点差以内の最終回を抑えたピッチャーには”セーブ”という特別な記録が付きます。しかしここで筆者が疑問を持つのが、3点差の1イニングを2失点以内で抑えることは果たして記録に相当するほど難しいのか、という点です。

2点差であれば、1人の出塁を許した後に本塁打を浴びてしまえば同点となり、これは”事故”としての発生確率は決して低くはないでしょう。
しかし3点差を守るにあたり、2人の出塁を許した後に本塁打を浴びるなどして追いつかれることは”事故”として処理するのは甘いんじゃないかと思います。これははっきり言って投手の「実力不足(コンディション不足)」にあたりますし、あるいは去年の西武打線のような「抜きんでて相手が上」という解釈が正しいのではないでしょうか。

以上の点から、”クローザー”は2点差以内の最終回に登板するべきで、3点差や4点差であれば「今後中継ぎの主力として投げさせたい準主力の投手(Twitter上では”Bチーム”と言われている)」を登板させることがベターになってくるでしょう。

ここまで勝ちパターンについて解説してきましたが、ここからは広島の問題点を探っていきましょう。

まず、当たり前のことですがシーズンは長いです。したがって143試合すべてに勝利することは不可能であり、どんなチームでも50前後は負け試合となります。
長いシーズンでは負け試合のクオリティが大切になってきますし、また”勇気ある撤退”とも言うべきの、目先の勝利だけにこだわらない投手継投が求められます。毎日準備をする中継ぎ投手は「ワレモノ」であるからです。

結論から言うと、今回の広島には”勇気ある撤退”ができませんでした。
例えば今日の試合なら、(筆者は草野球をしていたため見ていませんが)フランスアと中崎を使いたくないのであれば、負ける勇気を持って先発の中村祐太を失点しても投げさせるべきでした。その上で試合展開によって継投を判断していき、ジョーカーにはレグナルト、クローザーには一岡を配置するのがよかったのではないでしょうか。

また、これまでの3連投の内容にも疑問が付きます。
例えば3連投目となった昨日の試合でフランスアが登板をした時の巨人の攻撃は5番の陽岱鋼から始まっており、ここは巨人のコアとは言えません。
更には中崎は4連投の初日が4点差の最終回、2連投目は3点差の最終回での登板となっていて、これは先に書いた定義には該当しない部分となります。ただ、連投初日に関してはそれまで広島は4連敗しており、調整登板としての許容範囲内であるとも言えそうです。

話が少し逸れますが、なぜ連投(とりわけ3連投以上)を避けたいかというのは、2016年の日本シリーズで獅子奮迅の働きをした広島今村が、唯一休養なしの3連投目となった第5戦だけ失点したことを思い浮かべるとわかりやすいのではないでしょうか。
また長いシーズンは先手必勝ではないということも、2016年の日本ハムソフトバンクを見ればわかると思います。

話を広島の問題点に戻します。
先に”勇気ある撤退”という表現をしましたが、今日の試合でそれをするのであれば矢崎拓也を登録抹消するべきではありませんでした。なぜかと言うと、これも先ほど「負ける勇気を持って中村祐太を失点しても投げさせるべきだった」と書きましたが、もし中村祐太が大量失点をした場合、残りのイニングを矢崎に任せればよかったからです(加えて言うなら矢崎は先発向きとも思える投球をしているので、そのテストもしたかった)。

では今日中村祐太を登録するにあたり、誰を登録抹消すればよかったのでしょうか。
ひとり思い当たるのが、上本崇司でしょう。

上本のファンの方には申し訳ないのですが、上本は開幕から全試合1軍に帯同しながら、5月4日までに4試合しか出場していません(今日が5試合目の出場)。昨年担っていた代走の切り札からの守備固めとしての役割も、曽根海成に奪われつつあります。
また今季はまだ打席にも立っていなく、田中広輔の不調でも右の遊撃手として名前が上がらない以上、投手に枠を割く方が建設的と言えそうです。

堂林翔太は今日の試合の12回に磯村嘉孝の代走として出場しましたが、守備型の2番手捕手としての地位を築きつつある磯村よりも代打としての序列が下になり、かつ昨年まで取り組んでいた外野手としての出場がない現状であれば、こちらも堂林のファンの方には申し訳ないですが、それよりも負担のきつい投手に枠を割きたいです。

長いブログになりましたので、まとめに入ります。

フランスアは”ジョーカー”であり、常に相手のコアに投げさせたい
②中崎は”クローザー”であり、2点差以内で投げさせたい
③”勇気ある撤退”をすること
フランスアも中崎も、不要な登板があった
⑤なぜ連投を避けたいのか、2016年を振り返る
⑥矢崎拓也を登録抹消するべきでなかった
⑦上本崇司と堂林翔太は果たして”今”の広島の1軍に必要か

 最後に…
今季の広島は得点力が乏しく、今後も投手にかかる負担は大きくなる一方だと予想されます。だからこそ、特定の投手に依存するのではなく文字通り「全員で戦う」ことが求められます。
中村恭平など今後勝ち試合を任せられる投手も出てきましたので、きちんと運用することでそれなりに戦えるのではないかと思います。

余談ですが…
はてなブログでの記事執筆は今回が最後になります。
近々新たな野球メディア「baseballensemble」を立ち上げますので、今後はそちらでよろしくお願いします。